スイートホーム
つくづく恋愛っていうのは尋常じゃないエネルギーが必要なんだな、と痛感する。


もちろん、告白自体は絶対にするつもりだ。


その決心は何があっても揺るがない。


……だけれども、もうちょっとこう、様子を伺ってからでも遅くはないかな、なんて。


いや、今までの経験上、慣れてない事に慌てて取り掛かると、かなりの確率でグダグダな結果に終わってしまうから。


後から『ああ言えば良かった』『こう動けば良かった』と反省する事目白押し。


だから今回は気を落ち着けて、充分にシミュレーションを重ねてから決戦に挑む事にしよう。


『急がば回れ』というじゃないの。


先人からの貴重なアドバイスは真摯に受け止めるべきだよね。

うん。


必死にそんな言い訳をしつつ、問題を先伸ばしにしてひとまず安堵していた私だったのだけど。


まさか新たに押し寄せて来た、人生最大級のトラブルに頭を悩ませる羽目になるとは…。


非番の日だったので朝食後洗濯機を回しつつ、部屋の掃除をし、『これが終わったら散歩がてら買い物にでも行こうかな…』などとぼんやり考えていた時だった。


「ち、ちょっと、彩希ちゃん!」


ふいに室内に呼び鈴が鳴り響き、急いで玄関に向かいドアを開けると、管理人の奥さん……最近ではお互いに名前で呼びあう仲になった文子さんが、何とも焦ったような表情、声音で間髪入れず話を繰り出した。
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