スイートホーム
クローゼットの中から適当に上着をチョイスして玄関に戻ると、案の定文子さんはすぐさま話を再開する。
「んも~。お父さんが居れば身軽に動けるのに、こういう時に限って外出してるのよね」
上着を羽織りつつ通路を歩く私の後を付いて来ながら、文子さんはぶつぶつと呟いた。
「ホント、いざって時に頼りにならない人なんだから」
「そんな。大切な用があるんだから、仕方ないですよ」
私は思わず苦笑しながら旦那さんのフォローをした。
彼は今日コスモ警備保障主催の、ビル設備管理者の為の講習会に参加しているのだ。
仕事を放り出して遊び歩いている訳じゃないのに、こんな言い方をされたら気の毒である。
エントランスに戻ると、相変わらず鬱々とした立ち姿で優さんが私を待っていた。
「ホント、大丈夫ですから…。じゃ、行って来ますね!」
心配気な文子さんに向けて前半は小声で、後半はあえて陽気に声を張りそう言い残すと、私は優さんを目で促しつつ外へと出た。
そのまま私は振り返る事なく、自分のペースで黙々と歩を進める。
すぐに、目指していた場所へとたどり着いた。
寮から数百メートルの距離にある、都会の谷間にぽっかりと存在する、緑に囲まれた小さな神社。
背の高い木に覆われていて昼間でも薄暗く、さらに何かの行事が無い限り社務所は無人であった。
「んも~。お父さんが居れば身軽に動けるのに、こういう時に限って外出してるのよね」
上着を羽織りつつ通路を歩く私の後を付いて来ながら、文子さんはぶつぶつと呟いた。
「ホント、いざって時に頼りにならない人なんだから」
「そんな。大切な用があるんだから、仕方ないですよ」
私は思わず苦笑しながら旦那さんのフォローをした。
彼は今日コスモ警備保障主催の、ビル設備管理者の為の講習会に参加しているのだ。
仕事を放り出して遊び歩いている訳じゃないのに、こんな言い方をされたら気の毒である。
エントランスに戻ると、相変わらず鬱々とした立ち姿で優さんが私を待っていた。
「ホント、大丈夫ですから…。じゃ、行って来ますね!」
心配気な文子さんに向けて前半は小声で、後半はあえて陽気に声を張りそう言い残すと、私は優さんを目で促しつつ外へと出た。
そのまま私は振り返る事なく、自分のペースで黙々と歩を進める。
すぐに、目指していた場所へとたどり着いた。
寮から数百メートルの距離にある、都会の谷間にぽっかりと存在する、緑に囲まれた小さな神社。
背の高い木に覆われていて昼間でも薄暗く、さらに何かの行事が無い限り社務所は無人であった。