スイートホーム
予想外のキレ方に、私は再び呆気に取られながら優さんを見つめる。


「梨華ととことん戦って、俺のこと取り戻せば良かっただろ!お前が素直に身を引いたりするから、だから俺は…」


言いながら、優さんはその場にガクッと膝を着いた。


「あんな、恐ろしい女に捕まっちまったんだよ…」


そして両手で顔を覆い、その姿勢のまま固まってしまう。


「優さん…」


怒濤の展開に、正直恐怖心が込み上げて来ていたけれど、色々と解明しておきたい事があるし、ここで逃げる訳にはいかないと、私は頑張って彼に言葉を投げ掛けた。


「恐ろしい女って…梨華のこと言ってるの?」


「ああ」


「何でそんな風に思うの?」


「それはお前の方が充分に分かってるだろ!」


そこで優さんはガバッと顔を上げた。


「俺の交際期間なんかより遥かに長く、10年以上もあいつと友達やって来たんだから」


こちらに向けられた視線はこの上なく挑戦的だった。


非難している対象は梨華なのに、私の事も同じように憎んでいるかのような。


「…彩希があの職場に転職してちょっと経った頃、あいつ、訪ねて来ただろ?」


私の怯えが伝わったのか、優さんはハッとした表情になると、それまでよりも声音を穏やかなものに変えて問い掛けて来た。


「ほとんど話をせずに追い返されたらしいけど」


「え…。う、うん」
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