スイートホーム
「柳田さんが好きになった相手って、どういう感じのヤツだった?」


「……さぁ?知らない」


ちょうど梨華の顔を思い浮かべていた時に志希からタイムリーな質問をされたものだから、内心ギクリとしつつも何とか返答した。


「相手の事は何も聞いてないから。私には関係ないし」


「は!?何でだよっ。略奪女を呼び出して、文句の一つでも言ってやれば良かったのに」


「嫌だよそんなの。ゴタゴタしたくないもん」


「…ったく、姉ちゃんてホント事なかれ主義なんだよなー」


正直イラつくわ~と志希はブツブツ呟いていたけれど、肝心な部分はごまかせたので、ホッと安堵の息をつく。


高校生の頃から何度か家に招いた事があるので、これまた梨華と家族は面識がある。


「早乙女さんと一緒にいたら姉ちゃんバリバリ引き立て役じゃね?」なんて志希に憎まれ口を叩かれたっけ。


彼女に優さんを取られたなんて話したら、お母さんと志希に何を言われることか。


純粋に慰めてくれる訳がない。


それどころか、さらに心の傷を広げられそうな予感しかしない。


昔からそうだった。


「とにかく、この子に男性を見る目がなかったって事よ。これに懲りて、しばらくは恋愛なんかに現を抜かさず、仕事に励むのね」
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