スイートホーム
私の部屋同様、壁際に設置されている木製の下駄箱の上に、見るからに高級そうな素材の白いクロスをクッションにして、一枚の写真立てが鎮座していた。


中に収まっているのは年の頃20代前半くらいの、柔らかな微笑みを浮かべた女性の写真。


色白で卵形の上品な輪郭、天使の輪が浮かぶさらさらつやつやとした黒髪のロングヘアー。


バストショットなのでお化粧は控えめ、紺のポロシャツを着ているということしか確認できないけれど、今時の若い女の子にしては大人しめの格好だった。


だけどむしろその飾り気の無さが内側から滲み出る気品と美しさを際立たせていて、これぞまごうことなき正統派の、本物の美人というものなんだなとしみじみ思った。


でも、問題はそこじゃない。


玄関ドアを開けてすぐの場所に、こんな特別な感じを演出して異性の写真を飾るって事は、ズバリ、そういう事だよね…。


しかもバリバリ硬派な小太刀さんがとてもやりそうに無い行動なのに。


そんな。


気合いを入れて告白するつもりだったのに、この段階で失恋が決定的になるだなんて。


「待たせたな」


絶望的な気持ちで写真を凝視していた私は、小太刀さんの登場に気付くのが遅れた。


「守家さん?」


「え?あっ」


我に返り、私は慌てふためきながら彼へと視線を移す。


「す、すみません。素敵な写真だったので、思わず見とれてしまいました」
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