スイートホーム
そう言いつつ、小太刀さんはサンダルを脱ぎ室内へと足を踏み入れた。


「今持って来る。中に入って待っててくれ。ドアを閉めて」


「え?でも…」


「そんな格好で外に立たれていたら見ているこっちが寒い」


「あ、はい。分かりました」


そっか。


建物内を移動するだけだから、上着は羽織って来なかったんだよね。


廊下は外に面しているし、夕方になるにつれて気温もさらに下がって来ているから、いくらタートルネックと言えど確かにこれ一枚じゃ肌寒く感じる。


興奮状態だったから指摘されるまで全然気付かなかったけど。


それにドアを開けっ放しにしてたらお部屋の中も冷えちゃうもんね。


そう納得すると、私は小太刀さんの言葉に従い玄関の中にお邪魔してそっとドアを閉めた。


すでに奥の部屋に到達していた小太刀さんはガサゴソと音を立てながら作業している。


言わずもがなで、ストックしてあるらしい湿布薬を取り出してくれているのだろう。


廊下との仕切りのドアは開け放たれているので室内は丸見えだけれど、小太刀さんが立っている場所はここからではちょうど死角の位置になるので物音から推測するしかない。


…って、あんまりプライベートルームをジロジロ観察しない方が良いよね。


慌てて視線をそらし、自分の右側の壁へと移動した所でギクリとした。
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