スイートホーム
「あいつが、自らその話を守家さんにしたの?」


「はい…」


「……そうなんだ」


苦しさのピークは過ぎたようで、それまでよりも大分落ち着いた口調でそう呟いたあと、加賀屋さんは何やら考え込んでしまった。


「あ…。でも、細かい内容までは聞いていないんです」


沈黙が耐えきれず、私はおずおずと話を再開させる。


「その…。ストーカーに殺された、という事しか…」


「つーか、それもう核心に触れちゃってるけどね」


困ったような笑みを浮かべつつ、加賀屋さんはずっと手にしたままだったコーヒーをそっとテーブルに置いた。


「守家さんになら、話しても大丈夫かな…」


「え?」


「小太刀の過去をさ。もう、そこまでバレちまってるんだし」


加賀屋さんは改めて私に視線を合わせ、真摯に言葉を繋いだ。


「ていうか、俺が聞いてもらいたいんだよね。あまりにも重いその真実を、守家さんにも一緒に共有してもらえれば、大分心が軽くなるような気がする」


促された訳ではないけれど、そんな空気を感じ、私は加賀屋さんの向かいの席に腰かけた。


「……音消しとして、テレビはわざと点けておこうか。いつ、誰が来るか分からないから」


「はい」


私の返事を確認してから加賀屋さんはおもむろに語り出した。
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