スイートホーム
正確には、略奪ゲームを楽しめるであろう、絶好のターゲット。


……いや、「略奪」という言い方には語弊があるか。


小太刀さんと私は恋人でも何でもないし、それどころか彼からは、露ほども好かれていないかもしれない。


また、加賀屋さんが私の恋を応援してくれたという事は、小太刀さんには今現在彼女はいないという事を示している。


だからもし、梨華と小太刀さんが今後お付き合いを始めたとして、誰からも何にも文句を言われる筋合いはないのだ。


梨華がフリーの人を狙う確率は極めて低いという、以前私が立てた予想は外れた事になる。


ただ、ターゲットに思いを寄せる女性、つまり、私が不幸のどん底に突き落とされるという点だけは間違いはないけど。


それを見て、梨華は内心ほくそ笑み、勝利に酔いしれるのだろう。


そこまで考えて、心の奥底からゾッとする思いが込み上げて来た。


絶対に嫌。


彼だけは。


小太刀さんにだけは、絶対に、梨華なんかと付き合って欲しくない。


私にそんな事を願う権利なんかないのは重々承知しているけれど、この沸き上がってくる感情を抑えるのは容易じゃない。


『何で俺のことあんなにあっさり諦めたんだよ!』


ふいに、あの時の優さんの逆ギレにも程があるセリフを思い出した。


確かに、今さらだけれどその言い分には頷ける部分がある。


我ながら淡白だったな、と。
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