スイートホーム
情けなくも、完全に梨華のペースに巻き込まれている事をヒシヒシと感じつつ、それでも私は何とか頑張って主張した。


「お仕事で疲れてて、もしかしたら寝てるかもしれないから。それを邪魔するような事は…」


「あら。そんなの、確認してみなくちゃ分からないじゃない?」


梨華は大袈裟に目を見開いてみせ、口調もそれに合わせた。


「取り次ぎを頼まれた以上、彩希の立場なら従わなくちゃいけないんじゃないの?本人の意向も確かめずに、勝手に追い返したりできないハズでしょ?」


その時、私は唐突に合点がいった。


梨華は私の気持ちに気付いている。


小太刀さんへの、この胸の思いに。


前回、梨華と小太刀さんが初めて接触を果たした時、私はまだ彼の事を何とも思っていなかった筈なのだけれど…。


もしかしたら既に、恋心は芽生え始めていたのかもしれない。


自分自身、自覚できないほどに小さな小さな変化だったけれど、その芽がやがて蕾になり、いつか必ず大きく花開くと、私なんかとは比べ物にならないくらいの恋愛スキルを持つ梨華は、本能で感じ取ったんだ。

私の未来を読んだんだ。


そして今日、私の表情を見て、声を聞いて、確信を持ったに違いない。


完全に小太刀さんに狙いを定め、自分自身にゴーサインを出したのに違いない。


優さんが言っていた、梨華が新たに好きになった相手というのは小太刀さんの事だったのだろう。
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