スイートホーム
仕事を終え、駅までたどり着いた所でふと思い立ち、直結しているデパートへと歩を進めた。


化粧品が残り少なくなっていた事を思い出したのだ。


今のうちに補充しておかなければ。


一階にある御用達のショップへと向かい、化粧水と乳液と下地が一体型になっているジェルと、洗顔料をカウンターに置いた。


「少々お待ちくださいませ」


笑顔でそう言いながら、美容部員さんはブースを離れる。


何故かデパート内の化粧品屋さんて、レジが設置されてないんだよね。


客をその場に待たせて、美容部員さんが少し離れた場所にあるレジまで遠征し、処理を済ませて戻って来るという仕組み。


閉店後のレジ締めが大変になるから、お金は一ヶ所にまとめておくって事なんだろうか?


「お客様、お待たせいたしました」


何てことを考えている間に美容部員さんはカウンター内に戻り、お釣りとこのショップのポイントカードが乗ったトレイと、商品の袋を私の目の前に置きながら笑顔で続けた。


「それとこちら、日焼け止めとクレンジングのサンプル、お入れしておきますので、よろしければお使い下さい」


「あ、ありがとうございます」


私も思わず顔を綻ばせながら礼を述べる。
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