スイートホーム
新居で生活を始めるにあたり、用意しなければならない物をリストアップしていたのだ。


8畳の部屋には大きな造り付けのクローゼットがあり、各所に必要最低限の家具家電が備え付けられているので、一から揃えていく必要はない。


でも、自分なりにカスタマイズはしたいし、日用雑貨やトイレットペーパー、洗剤などの消耗品は当然の事ながら各自で用意しなければならない。


『これは必要だな』という物を書き出してみると、すぐにメモ帳のページ半分が埋まってしまった。


「守家さん、まだお時間大丈夫?」


見学を終えて廊下に出た所で、奥さんが笑顔で問い掛けて来た。


「よかったら、管理人室でちょっとお茶していかない?」


「え?良いんですか?」


「うん。もう少ししたら夕飯の仕込みをしなくちゃいけないんだけど、今のとこ手が空いてるから」


「冷たいものでも飲んで行きなよ。外は暑いからさ」


旦那さんにもそう促され、一瞬考えてから返答する。


「じゃ、お言葉に甘えて…」


これから密接に関わって行く方達だし、こういう機会に交流を深めておかないと。


私の言葉を合図に皆でその場から歩き出した。


廊下を進み、エレベーターホールを横切り、入る際はロック解除が必要な自動ドアを抜けて、エントランスへとたどり着く。
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