スイートホーム
「私達はどうせほぼ毎日食堂で夕飯を食べるようだから」


その会話の流れから奥さんに視線を向けると、頷きながら話を引き継いだ。


「私とお父さんにも週休が割り振られているけど、必ず代わり番この休みで、寮内にはどちらかが待機していなくちゃいけないのよ。だから普段は私が、私が休みの日に該当する時はお父さんが配膳や後片付けをしてるの」


「俺達管理人は要するに何でも屋だからな」


旦那さんも厨房に入ると聞いてとても意外に思い、それが表情に現れたのか、彼はすかさず解説した。


「普段は寮の建物、敷地内の美化整備が俺の主な仕事なんだけど、それ以外にも、やり方さえ指示してもらえば何でもやるよ。もちろん事務処理も」


「さすがに食事作りまでは手を出せてないけどね」


「それに関してはきっちり担当が決められてんだから、俺が入り込む余地はないだろ。しかもこれからは守家さんもいるしな」


奥さんにそう反論したあと、旦那さんは改めて私に視線を合わせ、続けた。


「そんな訳で、頼りにしてるよ。これからよろしくな」


「はい。ありがとうございます」


私が笑顔でそう答えた所でお茶会はお開きとなり、伊藤さんと田所さん夫妻は仕事へと戻り、大塚さんは帰宅するべく寮を後にした。


「さて、私も自分の仕事に戻りますか」


自室に帰った私は、そんな独り言を呟きつつ、荷物の整理を再開したのだった。
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