スイートホーム
「もしかしたらケンカ中なのかな、とは感付いたんだけど、だったら二人で話し合う時間も必要かなと思って。でも、もうすでにその段階は越えてたんだね」


「ええ、まぁ…」


「これぞまさに余計なお節介だったな」


加賀屋さんは苦笑いを浮かべながら自分自身にダメ出しした。


「いえ、そんな。お気遣いありがとうございます」


「しかし…。その点小太刀はすごいよな」


加賀屋さんはウウム、と唸りつつ腕を組む。


「守家さんのその胸の内を、瞬時に察したんだから。ホント、千里眼というか何というか…。人の心を読み取る能力がずば抜けてあるんだよな、アイツ」


「そう…なんですか?」


普段の彼を知らないから、今回の一件だけでは私は気軽に同意する事はできない。


「うん。仕事プライベート関係なく、一緒に居ると、多々そういう場面に遭遇するよ。やっぱ、過去に辛い思いをした人は、人の気持ちに敏感になるのかな…」


と言った所で、加賀屋さんは突然ハッとした表情になった。


「あ、い、いや、今のはね」


「……もしかしてアレでしょうか?田所さんにお聞きしたんですけど、クライアントのお孫さんにつきまといのような事をされて、とても大変な思いをしたとか…」


「え?あ、そ、そうなんだよ」


加賀屋さんはウンウンと大きく頷いた。


彼にしては珍しいテンパり具合だ。
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