憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 「・・・クレソンの事だよね?? オレは食わない派だけど、食べれるヤツだから」

 答えながら半笑いになってしまった。

 「あ・・・あぁ、クレションですね。 知ってます、知ってます」

 クレソンを知らなかった事を恥ずかしく思ったのか、早川さんが咄嗟に取り繕い、『あーハイハイ』などと言いながら頷いた。

 早川さん、知ったかしよった!! しかも、嘘バレバレだし。 『クレション』て。 言い慣れてなさすぎだし。

 何、もう。 面白すぎ。

 「クックッ」

 思わず吹き出す。

 「~~~もー!! えぇ、そうですよ。 知りませんよ、こんな葉っぱ!! ウチのハンバーグにこんなオシャレな葉っぱが乗っかってた事なんかなかったですもん。 何なんだよ、弟には『オレの方がまだ上手い』って馬鹿にされるし、木崎センパイだって、どうせワタシが料理下手だと思ったから、こんな事してくれたんでしょ!?? ワタシ、不器用なんだから、そんな急に上手に料理が出来るわけがないじゃないですか!!」

 早川さんが、鼻息を荒くして憤慨。

 違うよ、早川さんに会いたくて作って来たんだよ。とは恥ずかしくて言えない。
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