憎悪と、懺悔と、恋慕。


 「はーい」

 インターホンの向こうから、会いたくて仕方なかった人の声がした。

 「あ・・・木崎です。 早川さん、今、ちょっと出て来られる??」

 「え?! 木崎センパイ!? ちょっと待ってて下さい。 すぐ行きますから」

 インターホンから驚いた早川さんの声がした。

 1分も待たせる事なく玄関から出てくる早川さん。

 そんな早川さんは、顔に白い粉を貼り付けていた。

 「早川さん、顔粉だらけだけど、何してたの??」

 髪にまで付いた白い粉を払ってあげる。

 「あ、餃子作ってたんですよ」

 早川さんは、『髪にまでついてたかぁ』と苦笑いをすると、半歩下がり、顔を左右に振った。

 揺れる前髪から粉が舞う。 

 ・・・どんな作り方をすると、そんなに粉まみれになるのだろう。
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