憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 

 木崎センパイの姿が見えなくなると、一気に緊張感が解けた。

 ・・・疲れた。 機嫌の悪い木崎センパイと一緒にいるのが。 あんな気持ち悪いもの見せられるのも。


 とりあえず、家の中に入る。

 玄関で乱暴に靴を脱ぐと、階段を上り、自分の部屋のドアを開け、ベッドに倒れ込む。

 ・・・着替えなきゃな。 制服に皺ついちゃう。

 でも、疲れきってベッドに沈んだワタシの身体は、全然起きようとしてくれない。

 ボーっと天井を見つめる。


 お母さんを説得しなければいけない。

 でも、お母さんとなんか喋りたくも無い。

 ポケットに手を突っ込み、携帯を取り出す。


 〔お母さんの不倫相手は、ワタシの高校の先輩のお父さんです。 もうやめて〕

 お母さんにメールを打った。

 お母さんとなんか、話し合えない。

 だって、気持ちが悪いから。 また吐いてしまいそうだから。
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