憎悪と、懺悔と、恋慕。
 

 オカンが寝ると、やっと自由になれる時間が出来る。

 今日もオカンが寝たのを見計らって早川さんに電話を掛ける。

 早川さんは、どんなに遅い時間になっても電話に出てくれる。

 早川さんの声に、心が落ち着く。 疲れが和らぐ。

 早川さんに心配かけまいと、オカンの様子がどんどんおかしくなっている事は言っていない。

 会えないから、せめて電話だけでも早川さんの明るい声を聞いていたい。

 早川さんと楽しく電話をしている時だった。

 突然部屋のドアが開いた。

 「誰と話してるの?? 莉子ちゃん?? 莉子ちゃんだったら、ワタシ死ぬから!!」

 驚いてドアの方に目を向けると、寝たはずのオカンが車椅子に乗っていて、オレを睨んでいた。

 多分、今のオカンの声は、電話の向こうの早川さんにも聞こえてしまっただろう。
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