憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 「ゴメン、後で掛け直す」

 電話に向かってそう言うも、既に通話は切れていた。

 電話を適当に机に置き、オカンに近付く。

 「早川さんじゃない。 学校の友達だから」

 嘘を吐いてオカンの車椅子を押し、オカンの寝室に戻そうとすると、

 「何で嘘吐くのよ!! 湊もお父さんも莉子ちゃんも!! 人を騙すのがそんなに楽しいの!??」

 オカンが顔をぐちゃぐちゃにしながら、興奮気味に泣きじゃくった。

 確かにオレは今、嘘を吐いた。 早川さんも、事実を知っていながらオカンに隠し事をした。

 でもそれは、オカンを陥れる為じゃない。

 オカンを傷付けたくなかったからなのに。

 「・・・・・・」

 どうする事も出来ずに、ただ立ち尽くす。
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