憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 
 資料室を後にすると、学校を出て暫く歩き、電車に乗った。

 2人とも無言。

 だって、ワタシたちは楽しく会話出来る様な間柄ではない。

 電車を降りて駅から少し歩くと、高級住宅街に入った。

 さすが、木崎グループ。

 木崎センパイが、ひと際デカくてキレイなマンションの前で立ち止まった。

 ・・・ココかよ、木崎センパイの家って。

 見上げるだけで首が痛くなる程の建物を眺めていると、

 「入って」

 木崎センパイに促され、びっくりするほど広いエントランスを抜けて、エレベーターへ。

 木崎センパイが最上階のボタンを押した。

 木崎センパイの家は、桁違いのお金持ちだ。

 ウチだって別に貧乏ってワケじゃないのに、比べる必要なんかないのに、恥ずかしくなってしまう。

 でも、こんなにお金持ちの社長さんが、何でウチのお母さんなんかに・・・。
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