憎悪と、懺悔と、恋慕。
 

 エレベーターを降りて、木崎センパイが玄関のドアロックを解除した。

 ドアを開くと、

 「おかえりなさーい」

 木崎センパイに良く似た、キレイな顔をした女の人が、車椅子に乗って出迎えに来た。

 「ただいま。 あ、このコは学校の後輩の、早川さん」

 木崎センパイに紹介され『ペコ』と頭を下げる。

 「いらっしゃーい。 どうぞ入って入って。 湊がお友達連れてくるなんてめずらしー!! もしかして、彼女さん?? ウチの息子、ヨロシクねー」

 木崎センパイのお母さんが、ニッコニコな笑顔でワタシを見上げるから、思わずワタシも笑顔を返した。

 ・・・『足が悪い』って、車椅子だったんだ。

 思わず視線が車椅子に向いてしまうのを、慌てて木崎センパイのお母さんの方に戻した。

 ・・・にしても、明るいなー、木崎センパイのお母さん。 顔は似てるのに、性格が木崎センパイと全然違う。 木崎センパイは、割と冷めてるタイプだし。
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