憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 ・・・が、ワタシの特技は『悪あがき』。

 埋葬どころか、心臓はち切れんばかりにズンドコズンドコ大騒ぎする恋心。

 勉強なんて、全く手につかない。

 くそ!! 負けてたまるか。

 恋する気持ちを掻き消そうと、ノートに単語を書き続ける。


 ・・・・・・完敗。

 ページいっぱいに書いたのに、1つも覚えられなかった。

 そうこうしてる間に、

 「早川さーん、シチュー出来たよー。 お腹減ったっしょ」

 木崎センパイがワタシを呼びに部屋に戻って来た。

 木崎センパイの声を聞いただけで『ピクッ』と肩も胸も飛び跳ねる。

 ワタシの恋心は、なかなかしぶとい。

 『諦めたら、そこで試合終了』

 ごもっともだけど、ワタシの場合は試合自体がない。

 好きになってもらえる可能性など全くないのに、勝手にひとりで舞い上がってるだけの、ひとり相撲だ。

 だから、いい加減諦めて頂きたい。

 ほとほと自分のしつこさにうんざりする。
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