臆病者のシーソーゲーム(仮)





別に偏頭痛がした訳でも、

1人になりたかった訳でもない。





あの日から……


悠の弱いところを知った日から、

前よりもちょっとだけ屋上に行く回数が増えた気がする。



ほんのちょっとだけど。





「おーづばちゃん、さっきまでコバ君居たんだよ~。

タイミング良く逃げるね君は」

クスクス笑って迎えてくれたユズル。

小林は『何処行ってたの~』とか聞いてくるけど、
ユズルは私が1人でフラッと居なくなっても、特に聞いてこない。


それが今ではとても有難いと思う。




あれからも、

悠は皆に屋上の事を話してなくて、

『どこ居たのか』と聞かれてさり気なく交わして、


自分が屋上に居る事を話したくないようだから。






だから、

私と悠が一緒に居る事を知っている人は誰も居ない。








 


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