甘い心はあなた一色
――走り出した自転車の上、あたしの背中に彼方が体を預けたとき、ちょっとドキッとしたのは秘密にしておこう。
「よし!着いたぁぁ」
校門をくぐると、時計がかけられた校舎が見えた。教室まで走れば、何とか間に合いそうだ。
「じゃあ、自転車よろしく」
「えっ!?ちょ……」
ちょっと待ちなさいよー!
言うまでもなく、ひょいっと自転車から飛び降りたかと思ったら、彼方は走って行ってしまった。
……足速すぎるんだよ、この野郎。
っていうかここから自転車置き場まで、ちょっとかかるんだよね。
これはもう、遅刻決定じゃん……。