甘い心はあなた一色
「紗英子さんは可愛いよ」
いきなり織くんのそんな言葉。
「し、織くん!?」
お母様の前でそんなことっ!
「あらぁ織がそんなこと言うなんてっ!録音しとけばよかったわぁっ」
「母さん、それはやめて……」
なんて愉快なお母様なんでしょう。
織くんとはあんまり似てないような。
「あまり似てないでしょ?」
あたしの考えがわかったのか、お母様が微笑んだ。
「え?いえそんな……」
「いいのよ。私がこんなのだから、織がしっかり者になっちゃって。だけどね」
天使の笑顔があたしに向けられて、そしてお母様が耳元で囁いた。