甘い心はあなた一色
これも、いつものことだ。
気づいたときから彼方とは一緒にいたからね。
「ほら、紗英子早く」
玄関を出ると、彼方が自転車の前に立ってあたしを急がせる。
「ごめんごめん。じゃあ、漕ぐよ?」
よしっ!気合い入れて!
えーーいっ!!
「うわっ、お前ちゃんと漕げ!」
「えっ、あれっ……」
ちゃんと漕いでるつもりなのに、あたし達の乗った自転車はフラフラ。
なんで!?
この前漕いだときはちゃんとできたのにっ!
「お前俺を殺す気か!」