籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
「ティアナ」
少し怒気をはらんだ声に、ティアナは体を縮める。
「いつの間にか君がいないから、焦ったよ。まさかこんなところにいるなんて」
「……ごめんなさい」
「森は危険なところだよ。ふくろうや狼だってどこに潜んでいるかわからない」
「もうしないわ、絶対よ」
先ほどの怖い思いに身を震わせてそう告げると、マルセルの手の力が抜けるのを感じた。
そっと窺い見ると、彼は優しい目でティアナを見ていた。
「無事でよかった」
「……」
マルセルから目を離せないまま、ティアナは頬がじんわりと熱くなるのを感じ、薄闇の中でよかったと心から思った。
(騙されたらだめ。マルセルはいつだって、誰にだって、優しいんだから!)