kuro




「くろ、どうしたの?
何だか最近変じゃない?」

急に落ち込みだした僕に
光は本当に心配そうな声で尋ねる。

その声の優しさに
ますます情けなくなって、
僕は何でもないと返した。


いつもの光なら、
ここで引き下がってくれるから、
僕はこれで終わりにしたかった。


これ以上かっこよくない姿なんか、
見られたくなくて。


少しぐちゃぐちゃになった
目玉焼きを大きめにとって
口に放り込む。


僕好みの少し固めの半熟。


リクエストしなくても
僕の好きな物を食卓に必ず一つ
入れてくれる。

嫌いな野菜は細かく切って
くたくたに煮て、
食べやすいスープにしてくれる。


仕事、してるのに。


家事も、洗濯物も、掃除も。

きちんとしてくれる。


光にカッコいいって言われたいのに。




光の方がずっとカッコいい。


カッコいいって
言われたかっただけなのに、
考える程何だか凄く不安になる。


女々しい引きこもりの僕。
シルバーアクセサリーとココアしか
作れない、カッコ悪い
ひょろひょろの僕。


回復するまで光の顔をみれない。
これ以上カッコ悪いって
思われたくない。




だからいつものように
流して?


そう願っていたのに。













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