檻の中



「ルールは簡単だ。サイコロを振ってごらん」


 固まったままでいると、七福神がサイコロをわたしの前に置いた。


 拷問されなければいけないのか。


 恐怖心が先に立ち、動くことが出来ない。


 七福神がため息をつく。



「アレックスに甘やかされすぎたな。……まぁ、誰とて痛い思いをするのは嫌だろうが」


 そう言って、わたしの手に強引にサイコロを握らせた。


 もう一度、紙に目をやる。


 何に当たっても、無事では済まされそうもないものばかりだ。



「身代わりを立てるのを許そう。誰にする?」


「え……?」


 思わず顔を上げて七福神を見やると、無言で名前の載ったリストを渡された。


 シエル、あめりあ、野々花、ヒラリー。


 どうやら七福神の買った少女たちの名前らしく、年齢と顔写真も小さく載っていた。


 見ず知らずとは言え、自分の代わりに拷問を受けさせることなど出来ない。



「どうした? 遠慮しなくていい」


「……選べません」


 わたしは暗い気持ちで首を振った。


 かと言って、自分が拷問を受けるのも嫌だ。


 痺れを切らしたのか、七福神がステッキで床を鳴らしながら微かに苛立ちを見せる。



「時間切れだ。私が決める」


 低い声を出したかと思うと、おもむろに携帯を取り出し、どこかにかけ始めた。



「あぁ……私だ。連れて来なさい」


 短く言うと、七福神は電話を切った。


 数分ほどして扉が開き、大柄な男が身体を揺すりながら部屋に入ってきた。


 その後ろから現れた鎖に繋がれた人物を見て、わたしは驚きのあまり椅子から立ち上がった。



「裕太……!?」




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