ma cherie *マシェリ*
両手を合わせて、眉を下げる彼に同情してしまう。

ほんとうに困ってるようだったから。



「あ、はい。えと……どこに行きたいんですか?」


「あ、えとね。霧乃平ホテルってどう行けばいいのかな?」


「ああ、それならここから徒歩で10分ぐらいですよ?」


「マジで? 良かったら案内してもらえないかな?」


「えっ。案内ですか……? ホテルまで?」



どうしよう。

それは困る。


「ごめんなさい。今、人を待ってるから動けないんです。
えーと……あの……この先の東門を出てそのまままっすぐ行くと、交通安全の看板が立ってると思うんですよ。
その交差点を右に曲がって、さらに二つ目の筋……あれ?
三つ目だったかも。とにかく、左に曲がると大きな道路に出ます。
そこに出ればホテルが見えてくるんですけど……」


人に道を説明するのって苦手だぁ。


方向感覚がずれてるのかな、場所がわかってても上手く説明できない。



「えっ? 右? 左? 交通安全の看板って?」


案の定、伝わってないみたい。
< 237 / 278 >

この作品をシェア

pagetop