ma cherie *マシェリ*
あたしとマヒロさんは一緒に店の外に出た。
「さみぃ……。なんで三月なのにこんなに寒いんだよ。地球は温暖化で困ってんじゃなかったっけ?」
マヒロさんはマフラーに首をすくめながら文句を言っていた。
前から思ってたんだけど、マヒロさんてかなり寒がりなんだよね。
でも確かに今日は寒い。
「あ……雪ですよ」
あたしは空を仰いでマヒロさんに言った。
濃紺の空から真っ白な粉雪がチラチラと舞い降りている。
この間はちょっと春らしい天気の日もあったのに、今日はまた冬に戻ったみたいだ。
春はまだまだ先なのかなぁ……。
白い息を眺めながらあたしがそんなこと考えていると……
――ゴチンッて感じで、前を歩いていたマヒロさんの背中とあたしの鼻がぶつかった。
マヒロさんが急に足を止めたせいだ。
「マヒロさん? どうしたんですか?」
あたしは鼻をさすりながら、マヒロさんの視線の先を追った。
そこにいたのは……。
「あれ、佐伯さんの奥さんじゃね?」
「ほんとだ……。そうですよ、きっと。でもどうしたんだろう……」
奥さんは歩道脇でうずくまっていた。
それが意味するものをすぐに理解したあたし達は同時に駆け出した。
「さみぃ……。なんで三月なのにこんなに寒いんだよ。地球は温暖化で困ってんじゃなかったっけ?」
マヒロさんはマフラーに首をすくめながら文句を言っていた。
前から思ってたんだけど、マヒロさんてかなり寒がりなんだよね。
でも確かに今日は寒い。
「あ……雪ですよ」
あたしは空を仰いでマヒロさんに言った。
濃紺の空から真っ白な粉雪がチラチラと舞い降りている。
この間はちょっと春らしい天気の日もあったのに、今日はまた冬に戻ったみたいだ。
春はまだまだ先なのかなぁ……。
白い息を眺めながらあたしがそんなこと考えていると……
――ゴチンッて感じで、前を歩いていたマヒロさんの背中とあたしの鼻がぶつかった。
マヒロさんが急に足を止めたせいだ。
「マヒロさん? どうしたんですか?」
あたしは鼻をさすりながら、マヒロさんの視線の先を追った。
そこにいたのは……。
「あれ、佐伯さんの奥さんじゃね?」
「ほんとだ……。そうですよ、きっと。でもどうしたんだろう……」
奥さんは歩道脇でうずくまっていた。
それが意味するものをすぐに理解したあたし達は同時に駆け出した。