アナタガスキ

「なんかあったのか?」

「ううん」

大丈夫。

ほら、私まだ笑える。


「やっぱりチョコにすればよかったな」

そしたら私もlikeのノリで言えたかも。

「それ気にしてたのか」

「可愛げなかったね」

「りかちゃんは可愛いよ」

彼は小さい子にするみたいに私の頭をよしよしと撫でた。

「そうだ!」

良いことを思いついた!って、彼はチョコの山から赤い包みのひとつをとって、ビリビリと包装紙を破った。

「なに?」

よくある小さなハートのチョコが一つ口の前に差し出される。

「あーーん」

「嫌よ」

「ええから」

いつも何かを企む時、彼の口は端がくいっと上がる。

「その顔は危険だもの」

「何気に失礼だな、ほらっ」

チョコが唇に押し付けられる。

「なにする気?」

いつもその企みが嫌じゃないから、彼に溺れてる自分を内心で笑った。

「さあ?何だろうねー」

そんな楽しそうな笑顔で言われたら、
白旗を上げて降参するしかない。

「もぉ」

仕方ないなって顔を作って口を開けた。

「あっ……」

チョコが放り込まれると、すぐに顎が掴まれて唇が重なった。

「…やっ……っんん……」

強引に開かされた唇から彼の舌が入り込んできて、私の舌の上に乗っている少し溶けかかったチョコレートを絡め取る。

口いっぱいに甘さが広がり、絡め合う舌の甘さに頭が痺れていく。

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