あたしと寮と狼先輩。
子兎ちゃんの憂鬱
*
ザーーー……
ザーーー……
今日はあいにくの雨だ。
『せっかくの土曜日なのになあ』
今日は響とお出かけしようって話していたのに。
雨だからってことで中止になってしまった。
まだお昼だというのに空はグレーがかった色をしていていつもより部屋が暗い。
んー…
お腹空いたし、食堂でも行こうかな。
部屋の外に出ると、お向かいさんの桐原先輩も同じタイミングでドアを開けた。
あ…私服姿だ。
もう何回も見てるけど、相変わらずスタイルいいし格好良いなあ。
「おい、何見てんだよチビ」
先輩の第一声はそれだった。
チ、チビ………!
確かに小さい方かも…知れないけどさ、そんなストレートに言わなくてもいいんじゃないかなあって。ねえ。
『あ、えと、おはようです…』
桐原先輩はまだ打ち解けられてないというか、うまく話せない。
何故だか緊張してしまうのだ。