ちょっと黙って心臓
な、なんですかその理屈……!!

『煽られた』とか、『責任』とか!! そ、そんなの、私のせいじゃないし!!


ていうか堤課長って、こんな人だった??!

な、なんか……目つきが!! すごく!! いやらしいです!!!



「……千葉は? こんな、人気のないオフィスで……めちゃくちゃにされるの、興奮しない?」

「……ッ、」



するり、課長が私の太ももを撫でて。

その大きな手の感触に、ぞくっと背筋が粟立った。

みるみるうちに、からだが熱くなっていくのを感じる。


言いたいことは、山ほどあるのに。だけどそれも、ドキドキの割合が大きすぎて、頭の片隅に追いやられる。

抵抗の力を弱めた私を満足そうに見下ろしながら、課長はきっちり締められていた自分のネクタイを緩めた。



「……ま、おまえに触る口実になったし。あのふたりのことは目を瞑っておくか」

「っえ?」

「こっちの話。ほら、集中」

「……ッ、」




ストイックな堤課長からは想像できない、熱くて激しくてやさしいキスを合図に。


内緒の夜は、更けていく。









/END
2014/10/05
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