ポケットにキミの手を
「……司が頑固なのは残念ながら君の血だよ。君たちはいつも平行線だ。むしろ余計司が頑なになっている気がする。菫さん、司はこういう男だよ。君の意に沿わないことでも断行することもある。それでも大丈夫かい?」
お父様の声は優しかった。彼はちゃんと自分の妻と息子の不仲を理解しているのだろう。
それでいて、今までは放っておいたのはどうして?
「大丈夫です。司さんは私の気持ちをちゃんと聞いてくれています」
「そうだよ。アンタたちと一緒にするなよ」
「司さん。お父様も今ちゃんと聞いてくれてます」
「……菫」
司さんは口をつぐんで、上げかけた腰を下ろした。
「私ではいたらないところも知らないことも沢山あります。彼の隣に立つには、恥ずかしいくらい。だけど、司さんが好きなんです。なんでも教えてください。出来る限り頑張りますから」
「菫さん」
「母さんのいうことなんて聞かなくてもいいよ」
お母様が、しかめっ面を少し緩ませる。と思ったら司さんの一言でまた眉間にしわが寄った。
おかしい。
司さんはいつも誰とでもうまくやっているのに、お母様だけは特別なんだ。
私は傷ついてないよ、大丈夫よという意味を込めて司さんに笑いかけた。
「司さん、私色々教えて欲しいんです。私の知らない司さんのことも、きっとお母様ならいっぱい知ってる」
「そうよ。大体司は私のことを邪険にしすぎるわ。私だって心配しているのに」