天使の贈り物 

6.約束の日



彩巴と過ごすようになった時間。


それは美空との時間から
逃げるように、
愛しすぎる時間を塗りつぶすように
時を刻んでいく。


同じ傷を抱えたもの同士が
お互いの孤独から逃げるように。



俺に拠り所を求めるように
微笑みかける彩巴。



美空とは違う、
その少女を愛しているのかどうか
俺にはわからない。


あの日から凍てつきすぎた心は
全てを麻痺させてしまっているから。



だけど求められる想いと、
その温もりは、
俺を現実へと立ち返らせてくれた。




「ねぇー、そーすけさん」






二人で寝そべるベッドに
裸のままで布団に包まる彩巴。


そんな彩巴を温もりを抱きしめるように
抱き寄せる。




彩巴と共に悠生の喫茶に出掛けて、
アイツラとの時間を過ごす。



成実の奴は相変わらずで、
バンドの曲を次々と演奏させようと
俺にズケズケと突きつけて来るが、
手の震えから脱することが出来ない
俺は、何時も断り続けた。


その度に、成実は機嫌悪くなり
思いつめたような顔をしていたのか、
彩巴は心配そうに俺に寄り添ってくる。





だけど彩巴との時間も、
体の関係と、今の関係だけで
お互いの過去の傷口を晒しあうような
そんな関係にはなれなかった。



そんな時、煌太からの一本の電話で
彩巴が俺の過去を知ったことを知らされた。



ずっと俺のことが気になってた
彩巴は、成実と煌太と共にあの町へと踏み入れた。
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