天使の贈り物 

11.貴女が居ないから




望んだ現実。

私が……望んで求めた真実。


なのに……
二人で辿ったプレギエーラの日から、
近くに感じてた心が離れちゃった。


駆ける言葉も見つからなくて、
そーすけさんからの電話も、
居留守を使って
不在通知だけが携帯の液晶に溜まっていく。


メールは何度も届くけど、
それにも目を通す気力なんてなくて、
連絡を取らないまま、
時間だけが過ぎていく。



どうして?


私が望んだことなのに……
どうして私が逃げてるの?


受け止めるって
自分で決めたはずなのに……。




考えれば、考えるほど
思いつめれば思いつめるほど。
浮かび上がってくるのは、
みくさんへの愚痴ばかり。



みくさんを
悪者にしたいつもりじゃないのに……。



今も、みくさんが生きてたら
そーすけさんは、みくさんしか知らない
笑顔をいっぱい見せて、
私の知らないところで、
幸せに過ごしてたのかな?なんて
考えちゃうと、
もう……彼女への文句しか出てこなかった。



ねぇ、みくさん……
どうして死んじゃったの?



貴女がちゃんと生きてくれてたら、
まだ……正々堂々と、
貴女から私は、
そーすけさんを奪うことも出来た。




貴女の前に堂々と現れて、
宣戦布告して、
貴女を思い続ける、
そーすけさんの気持ちを略奪する。



そうやって……
決着つけることが出来たら
こんなにも……
思いつめなくて良かった。


苦しくなくて良かった。




息が詰まる思いを感じなくて
良かったのに……。





どうして、貴女は私と出会う前に
天国になんか行っちゃったのよ。


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