宿った命
〈おい・・・。勝手に黙るなよ〉
「お前、いい奴なんだな」
〈な・・・っ!?〉
「耳、赤くなってるぞ。照れんなって」
〈な、なってない・・っ!!〉
「俺も名前で呼んでもらえないと辛いなぁ~?」
修平はわざとふざけるようにリーフをからかった。
修平は思っていた。
きっと、互いの絆は今まで壊れることはなかったはずだ。
それなのに、今回ぶつかりあってしまったことで辛い思いをするんじゃないかと。
だから、もっと聞きたいこともあったけど、修平は聞くのをやめた。
きっと2人には2人の、人ではないやり方があるはずだから。
〈何だよ。会って数時間しか経ってないだろ?辛いも何もないはずだ〉
「ふーん。俺は呼んでやるのに、リーフは呼んでくんないんだ?」
〈う・・・〉
「信じたのになぁ。“妖精”・・・っだってこと・・・」
〈笑うな!!おい、修平!!〉
咄嗟にでた言葉を、リーフは手でおさえた。
そんなリーフを見て、修平は静かに口角をあげた。
「うし。まぁ、ラックだって話せば分かんだろ。強い力があるなんて良い事なのになぁ。
あいつ、きっと混乱してるだけだって」
〈・・・だといいけど・・・〉
「なんかお前ら、兄弟みてぇ。良い兄貴をもってラックは幸せものだよ」
修平がにこっと笑い、リーフの頭をわしゃっと撫でた。
不思議と安心したのか、リーフは自然と溢れた涙を隠すようにそっと下を向いた。