Dear:大切な君へ。
体育館の入り口に着くと、少しだけ中をのぞいてみる。
「ファイ、オー、ファイ、オー」
「ナイッシュー」
「ディフェンスディフェンス!!」
聞きなれた単語が飛び交う体育館。
昨日の入学式の時とは違う光景が広がっていた。
「入部希望者?」
二人して入り口に突っ立っていると、突然横からニュっと人が出てきた。
「う、わ」
思わず後ずさると、
「なによー、人をお化けみたいに」
と、頬を膨らましながらその人は言った。