月夜の桜
次に日の朝、私は何事もなかったかのように大学に行った。
いつも通りの通う道、何も変わらない景色、人の流れ、
私にとっては、あの幸せな時間がいつもの日常に戻った位にしか思っていなかった。
だけど、出会いというものは、突然だ…。

???「あの…ちょっといいですか?」

私「えっと…なんでしょうか?」

???「落し物していませんでしたか?」

私「私、何を落としていたんですか?」

全く落し物の存在に気づいていなかった…。
最初はナンパの類と思って内心怯えていた私。
だけど、何だろう、この落ち着いた気持ち、初めて話したのにいやな気持ちにはならない。

???「定期券が入っているケース拾ったんですけど、写真見たらあなたかなと思って。」

私「あっありがとうございました。全然気づきませんでした。」

???「よかった、大事なものなんですから落とさないようにしてくださいね。」

私「はっはい…あの、よろしかったらお名前を聞いても宜しいですか?」

大樹「石島大樹といいます、貴方のお名前は…大島静香さんですよね?」

静香「どうして知っているんですか?」

大樹「定期券に名前が書いていたので見ちゃいました。」

何気ない会話なのに、大樹さんと話していると、心が落ち着くのは何故?
明るい笑顔と、心の底から優しさが感じられる。
私は、大樹さんと連絡先を交換して、その場を後にした。
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表紙・目次

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