★FAN★
焔の剣が蝶の羽を焼き尽くすと、バランスを失った蝶は次の攻撃を避けようと、片羽で上空に逃げる。



‡ビートヒート‡



リルの唱えた炎の斧が逃げた上空に出現。それが振り下ろされると蝶は急激に闇の力を高めたのか、その周りにどす黒い気質が邪々しく漂う。


片羽は黒いその力により蘇り、それが周りの景色の光を奪った。


「何が起きた!?」

二人の視野からは自分以外の光は消え去り、迷い人がうろうろと周りを見るように挙動不審に見える。




身体中に駆け抜けるあの痛み。攻撃がわかっていても、どの方向から、どうくるか、避けようがない。

リオンの叫びにリルは戸惑いながらも、ただうろうろとしているだけ。

焼けるような痛みが太腿を貫き、腕に穴が空き、総てが一気に崩壊した。







何分か経った後に、蝶の呻き声が聞こえたのは、もう意識がなくなる寸前であった。

必死に自分の身体を揺さぶる力。五月蝿いほどの掛け声。



それから気付いたのは、二日後の事であった…。




< 38 / 52 >

この作品をシェア

pagetop