悪魔ニ花束ヲ
灰原は変な男だと思う。
美形なのに残念だ。だって、こんなにもあたしに構う理由が見つけられない。多分あたしは灰原の何かのスイッチを押してしまったんだろう。それならば、早く解除しなくては。
「なに」
灰原があたしに振り返った。漫画の主人公のような王子な容姿なのに、物凄く無愛想。
「なんでそんな辛気臭い顔してるわけ?益々残念だよ?」
低い美声はあっさりまた辛辣に言葉をはくのに、繋がれた手は離さない。訳が分からない。
だって、言葉の割にからかうように細まった右目が優しい。
ああ、もう本当に、なんなんだろう。
「……?」
「あたし、今日は約束があるんです。だから離して下さい」
引きずられている場合じゃないのだよ。一刻も早く、逃れなければ。