悪魔ニ花束ヲ
ああ、もう見るに耐えん美形だ。今更、実感するのもあれだけど。
大体、あたしは鈍感じゃない。自分を美化しているつもりもないし、秀でた何かがあるとも思ってない。どんなに褒め言葉を探しても「色が白いのね」位だ。しかも不健康に白いだけ。物語の主人公になるキャラじゃないのは自覚してる。
言い寄る数々の素敵男子をとぼけた笑顔のみでかわす天然美少女でもなければ、前向きで存在するだけで周りを明るくする向日葵娘でもない。
詰まるところ、
自分に向けられているらしいベクトルに何の疑いもなく受け止められる度量がないのだ。
そんな訳ない、と逃げ道にしている自分の感情。
繋がれた灰原の手も、妙に近い距離も、消毒という名の深いキスも、戯言のような『可愛い』とか『タイプだ』とか『愛してる』だとか、
────嫌じゃない、だけどリアルに向き合える理由が全くもって見つからない。