悪魔ニ花束ヲ
「え、いや、その」
駄目だ。日頃聞き慣れない単語を久城さんという人格者に言われると素直に嬉しいというよりも恐れ多い。いや、ブスです、ブスなんですと突っ伏してしまいそうになる頭を必死で持ち上げて、引き出しの少ない会話のスキルを頭の中で整頓させた。
「喜ばないでくれる?うざい」
灰原の不機嫌な声がその思考を遮る。
「喜んでません、焦ってるんです」
「それを喜んでるっていうんだよ、馬鹿?」
「そうなんですか」
「……ハァ」
灰原が短い溜息をはいて頭を掻く。
「ち、か、げ?」
微笑を絶やさない久城さんは黒い空気を纏って灰原を窘めるように声を零した。