悪魔ニ花束ヲ
「千景さ、なにヤキモチ焼いてんの。可愛いー」
全く先ほどの一瞬など感じさせない穏やかな口調。久城さんが自らの行動を驕らないなら、わたしもその勇姿をこっそり心に収めておこう。
「いえ、構わないんです。容姿に自信は一ミクロンもありませんし、全く気にしてません」
ハフハフと熱いモカに息をかけながら、わたしは久城さんを見上げた。
「…?可愛いよ」
熱いし、上手いな、このモカ。久城さんのオリジナルブレンドなんだってね、って、え?
「君は充分可愛いけど?」
久城さんの笑顔は、当たり前の事だと言うようにぶれのない口調を乗せた。
「千景だってそう思うだろ?つか思ってるよね?」
「……こいつ褒めても無駄ですよ。スルースキルだけは成長中みたいなんで」
灰原が不機嫌に答える。いや、ちょっと待って、
「なるほど、なるほど。面白い。」
久城さんは楽しそうに笑う。
いや、何も面白くない。