強引男子のイジワルで甘い独占欲


「なんで俺が泣くんだよ」
「傷ついたからでしょ」
「俺が? なんで?」
「なんでって……え、それがなんで?
だって朋絵と付き合ってたんでしょ? それなのに目の前で裏切られたんだから傷つくに決まってるじゃない」

最初は、平然を装えば装うほど不憫だと思っていたけれど、途中からなんでこんなに聞き分けがないんだとイライラし出してしまう。
そんな私に、眞木隼人は少し黙った後、別にと答えた。

「俺なんとなく付き合ってただけで、木原の事が好きだったわけじゃないし」
「なんとなく……? え、別に好きじゃないのに朋絵と付き合ってたの?」
「そんな驚く事でもないだろ。それくらいの気持ちで付き合ってるヤツなんかその辺にゴロゴロいるだろうし。
そんな事より飯行きたいんだけど」
「そんな事よりって……今の状況分かって言ってるの?」
「お互い恋人に捨てられたんだろ?」
「それ分かっててなんですぐにご飯とか言い出せるわけ……?」

顔をしかめながらじっと見ていると、眞木隼人は少し面倒くさそうに続ける。



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