強引男子のイジワルで甘い独占欲


「なに呆けてるんだよ」
「え、ああ。眞木、つなぎ似合うなって思って。初めて見たから」
「そういえば社内で会うの初めてかもな。佐野はいつも休憩室?」
「ここ二週間くらいはね。それまでは食堂だったけど」

眞木は少し顔をしかめてなんでか理由を聞こうとしたみたいだったけれど、その理由が分かったのか、ああ、そういう事かと呟く。

その辺の勘がいいから、説明いらずで助かった。
さすがに社内で慎司や朋絵の事を口にはできないから。

「で、嫁が欲しいってなに」
「ああ、嫁っていうかお弁当を作ってくれる人が……眞木、それお母さん作?」

眞木が広げたお弁当箱。
その中身があまりにおいしそうだったから会話の途中だっていうのに思わず見入ってしまった。
そんな私に、眞木は普通に「いや、俺作」と答える。

「俺って……眞木作?」
「そう」
「えっ、朝早く起きて作ったって事?!」
「別にそんな早くもないけど。昨日の夕飯の残りもあるし冷凍とかもあるし」
「えっ……眞木、料理とかするの?」

絶対にしないタイプだと思ってたというか、男の人って基本的に料理とかしないと思ってただけに衝撃が隠せなくて。
まだ驚きが収まらない私に、眞木は「普通だろ」とまるで私がおおげさな事で言っているように笑う。



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