強引男子のイジワルで甘い独占欲
「そういえばね、もうひとつ新しい噂があるの」
ああ、それでパっと明るい顔になったのかとこっそり苦笑いをもらしながらも、話題がそれて胸を撫で下ろしていたけれど。
小谷先輩が楽しそうに話す噂を聞いて、一息ついていた胸が一瞬にして凍りついた。
「営業課の三坂さんって分かる? その人と秘書課の木原さんが付き合ってるらしいの」
息を吸い込むより速く、胸が凍りつく。
胸だけじゃない。身体全部が今ハンマーでたたけば砕け散るんじゃないかってくらいに固まってしまったみたいだった。
「三坂さんの方がかなり熱心に口説いたみたいよ。
木原さんっていかにも女性って感じの柔らかい雰囲気よね。男の人は木原さんみたいな人好きだろうし熱心にっていうのも納得しちゃったわ」
にっこりと微笑みながら言う小谷先輩が、そういえば佐野さんいとこじゃなかった?と聞く。
聞こえてはいたけれどぼーっとして答える事ができずにいる私に、小谷先輩がもう一度聞いてきて。
ようやくハッとして現実に引き戻された。