強引男子のイジワルで甘い独占欲
どれくらいそうしていたのかは分からないけれど、結構長い時間そうしていたハズだし、これだけ目立って泣いていれば、誰かひとりくらい通行人が気にして声をかけてきてもいいものだと思うのに。
ジロジロ物珍しそうに遠目には見るのに、誰一人として近寄ってくる人はいなかった。
別に、どうしたの、なんて聞かれても答えに困るし、私だって第三者としてこの場に遭遇したら特に声を掛けたりはしない。
第一、同情されたいわけでもないから、むしろ放っておいてくれるのは助かるけれど。
それにしたって冷たい世の中だな、なんてどこかで冷静に思いながら、まだ熱を持つ目元や鼻をハンカチでグジグジと拭いていた時。
後ろから声をかけられた。
「やっと落ち着いた?」
やっと落ち着いた――?
まるで私が泣いていたのをずっと見ていたように言うその人を、ゆっくりと振り返る。
そして、涙で滲む視界に映った人物に自然と顔が歪んでいた。
「眞木、隼人……」
「腹減らない?」
「えっ、いつからいたの? まさかずっと……?」
「まぁ、ずっと」
「ずっと……?! なんで?!」
パニックになりながらそう聞き返してハっとする。