電波的マイダーリン!





背後から猛スピードで追ってくる花梨に、雪玉を投げて逃げ回るあたしと瑞希。

朝の昇降口前で繰り広げられる戦いに、周りは大爆笑。


が、しかし!

その時、瑞希が投げた雪玉が、とある人物の後頭部に直撃した!


「あ゛っ」


硬直する瑞希。

振り返った黒髪の人物は、ダークブルーの瞳に捉えた瑞希を睨む。


…………(冷や汗)。


「……何、東野。朝の挨拶?」

「いや、ちょっとこれは手が滑ったって言うか落ち着け一ノ瀬やめろやめるんだギィヤァアアア――ッッ!!!!」


雪玉をお返しと言わんばかりの勢いで投げ返したのは言うまでもなくカイトで。

そして顔面にぶち当たった瑞希は後ろ向きに倒れるわけで。


……瑞希よ(哀れむ瞳)。


そうして始まる雪合戦。

周りのみんなも参加して大盛り上がりだ。



笑いが絶えない今日この頃。

12月。季節は冬。


ウチには葵とお父さん、そしてカイトが住むようになって、とても賑やか。

あたしの苗字は、来春から変わることになっている。


『榊と如月…ちーちゃんの苗字ってムカつくけどカッコいいよな!どっちも!』

『どちらにしても男みたいだけどねん』


なんて、瑞希と花梨は言いながらも、それでも嬉しそうに笑ってくれるからあたしも嬉しい。

カイトはあたしの家族とすごく仲良くなって、葵とも本当の兄弟みたいに仲が良い。

みんなが支えてくれて、笑顔になってくれた今年も、そろそろ終わる。


もうすぐ、クリスマスだ。





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