真紅の空
えっ?と思って首を傾げると、
同じように首を傾げていた暁斉の背を押して、
向かいの部屋へと押し込んだ。
仁と部屋の中に二人きりになる。
いつもは心地いいはずの沈黙も、
この時ばかりはどこか息苦しく感じて、
何かいつもと違う空気を感じた。
「由紀はさ、どうして暁に会ったんだ?」
「えっ?……あの日、あたしが暁の手紙を見つけて、
多分返事を書いたから飛ばされたんだと思うけど」
「どうして返事を書いた?」
「……分からないけど、無意識に書いていたわ」
「由紀は、暁が好きなの?」
「えっ?」
はっと息をのんで仁を見上げる。
仁は苦しそうに笑っていた。
何?どうして分かるの?
「さっきの二人のやり取り、俺には何か特別なように見えた。
あっちの世界で何かあったのか?
どうして暁を見る目がそんなにも特別なんだ?」
「仁、なんで……」
「由紀は誰の彼女だよ」
消え入りそうな声で仁が叫ぶ。
もしかして仁、やきもち?
さっきはあたしもあからさまだったと自分でも思う。
それをいくら仁でもいい顔するわけないよね。
仁はさっきのあたしたちを見て面白くなかったんだ。
だから、仁にしてはめずらしく語尾が荒くなっているんだ。
「仁……仁の彼女だよ。
大丈夫。仁の心配するようなことは何も……」
「だったら、何であいつも一緒にここにいるんだよ。
あいつなんて置いて一人で帰ってこいよ。
どうせあいつは、俺らから見れば死んでるも同然だろ」
仁の言葉に、ピクリと体が震えた。
今の何?暁斉が、なんだって?